ヨークシャーテリア【小型犬】

ヨークシャーテリアの外見と特徴

ヨークシャーテリアは、「ヨーキー」の愛称でも知られる英国ヨークシャー州で生まれた犬種です。
今では華奢な愛玩犬というイメージが強いですが、この「テリア」という名前は「地面」「大地」といった意味があり、もともとはモグラやネズミといった害獣をその巣穴に潜って仕留めてることを役割としていました。
ヨークシャーテリアも実はネズミを捕まえるために作出された犬だったのです。

ヨークシャーテリアの特徴は、なんといってもその美しい絹のような被毛にあります。
生まれた時はほとんど真っ黒なのですが、成長するにつれてダーク・スチールブルーやゴールド、シルバーなど毛色が7回ほど変化します。その複雑かつ美しい毛並みは「動く宝石」とも形容されます。
現在の家庭犬として買われているヨークシャーテリアはほとんどの場合毛を短くカットされていますが、伸ばすとひきづる程長くなり、今でも品評会などではその長さと美しさが重視されています。

また、「目で話す犬」とも言われ、表情豊かで明るく、知的で感覚鋭敏、気品を備えコンパクトで堂々とした風格を持ち体高と背線の長さが同じ位で外見のバランスがとても良い犬種です。
成犬でも3kg未満の超小型犬であり、日本はもちろん世界的に非常に人気のある犬種です。

ヨークシャーテリアの歴史

ヨークシャーテリアはよくイメージと実態が違う犬と言われます。
それはその歴史にも現れていて、今では全くイメージにありませんが労働者階級のために生まれた作業犬でした。

この犬種は19世紀中頃、イギリスのヨークシャー地方で家屋を荒らすネズミの被害が多かった時期に、工員や炭鉱夫たちがネズミ捕りのために作出したのがはじまりと言われています。
ネズミ捕りとして優秀な犬になるよう綿密な計画のもと、ウォーターサイド・テリアを始めとするテリア系の小型犬とマルチーズを混血させた結果完成したのがヨークシャーテリアでした。そのため比較的歴史の浅い犬といえます。

ネズミ捕りとして生まれたヨークシャーテリアでしたが、その被毛の美しさと非常に小型なサイズから、富裕層の貴婦人たちから抱き犬として注目され、一躍愛玩犬として大流行しました。
当時は被毛が長いほど貴ばれ、ひきずるように伸ばされていたそうです。
そのため爪で引っ掻いて被毛を痛めないよう、脚に靴を履かせる習慣すらあったそうです。

その後、アメリカにも持ち込まれましたが、当時はまだサイズが今ほど安定しておらず、14kgほどある大きなヨークシャーテリアも存在していました。
そこで、英米のヨークシャーテリアの愛好家たちが協力し、より小さなサイズの犬種となるよう尽力しました。
その努力が報われ、現在のヨークシャー・テリアは、小さく、もっとも豪奢ながら、美しい被毛を持つ犬種となり、これらの特色によって、ヨークシャー・テリアは現在も確固とした人気を獲得しています。

ヨークシャーテリアの性格や気質

小柄で華奢なヨークシャーテリアですが、実は負けん気が強く、エネルギッシュで、典型的テリア気質の犬種です。
ネズミ捕りの本能が色濃く残っており、捕食本能が強く、やや攻撃的でキツイ性格の持ち主です。また、警戒心が強く、縄張りを大切にするため飼い主さん以外の見慣れない人には吠え掛かり、無駄吠えもします。
ですが、基本的には利口なので、幼い時からしつけをマメにすることで吠え癖は直すことができます。

また、飼主に対する愛着は非常に強い犬種です。しつけ次第で心強い家族の一員になるでしょう。
また、ベースがキツイ性格の持ち主なので、とにかくしつけが大切です。愛らしい外見にだまされて甘やかしすぎると、飼主を下に見て、ワガママ放題を尽くすとんでもない問題犬になってしまいますので要注意です！

ヨークシャーテリアを賃貸物件で生育する時の注意点

ヨークシャーテリアは寒さに非常に弱いので、屋外で飼うのには向きません。
吠え癖をしっかりとしつけられるのであれば、抜け毛もほとんどなく、サイズも小さいので賃貸物件で飼育するのに非常に適した犬種と言えます。

ヨークシャーテリアは散歩の量が必要な犬種ではありません。
放っておいても家の中を活発に動き回るので、それだけでも十分な運動になりますが、軽めの運動やゲーム遊びを取り入れてあげるとより良いでしょう。気分転換に時々軽めの散歩をしてあげるのも良いでしょう。

ヨークシャーテリアで手間がかかるのは被毛の管理です。
毎日ブラッシングをするのは必須です。

さらに本格的に伸ばして、美しく保とうとするならば、くしやブラシ、専用の被毛用オイル、シャンプーやトリートメントなど複数の用具を揃えなくてはならず、人間以上に費用と手間がかかります！
家庭犬としても、運動後のグルーミングと定期的なトリミングはした方がよいでしょう。
特に伸びやすい爪は、定期的に切るようにしてください。
被毛を洗った後はよくすすぎ、水気を十分に取ってから毛並みにそってピンブラシで整え、ドライヤーで十分に乾かしましょう。

最後にヨークシャーテリアは先天的に骨や歯が弱く、虫歯や歯槽膿漏になりやすい犬種と言われています。
食後の歯磨きなど歯の健康管理に注意を払うことが大切です。
他の犬種でも同じことですが、飼育する場合は、体質や性格、病気のリスクを十分に理解し、責任感を持って育てましょう。

ヨークシャーテリアを飼う時のポイント

• ずる賢く、キツめの性格のため甘やかすとワガママになりやすいです。毅然とした態度でしつけましょう。
• 被毛を美しく保つには大変手間と費用がかかります。普通に育てる場合でもブラッシングは欠かさずに。
• 歯や骨の病気になりやすい犬種です。歯磨きや食事管理を十分に行いましょう。